アイランド
作詞 吉田拓郎 作曲 吉田拓郎
シングル「流星」
幻のテーマ曲よ、どうか幻のままで
1979年5月発売のシングル「流星」のB面であり、その名のとおり、約3か月後にひかえた「篠島アイランドコンサート」のテーマソングとして発表された。名曲「流星」とのカップリング、そして篠島への気運が盛り上がる中、ファンが期待しないはずがない。私も誠に勝手ながら脳内では既に「人生を語らず」のような勇壮なテーマ曲と出会う覚悟はできていた。
そして発売に先立って拓郎は、深夜放送「セイヤング」で「これが篠島のテーマ曲だ」とドヤ顔で(ラジオか)発表した。その時の衝撃は今も忘れられない。
いきなり前奏で「シュビドゥバ シュビドゥバ」という陣山俊一氏のスキャットに耳を疑った。あれ?人生を語らずとはちょっと雰囲気が違う・・・。
それに続けて妙に明るい拓郎の声で「この島 今日から ボクらの国だ オーイェー ディス アーイランド!」はあ?いきなり領土宣言か。国際問題になるぞ!?「雨でも風でもボクの友達だ」「父さん母さん元気でいるかオーイェー ディス アーイランド!」なんで父さん母さんが出てくるんだっ?とにかくすごいフレーズがたたみかけてくる。「そうさぁ~わかっていることは ここは今ボクの国だよぉぉぉ」
・・・・なんじゃこりゃあっ!
凄いのは、この歌自身は2分少々でとっとと終わってしまって、その後「人間なんて」が始まるのだ。スタジオでの「人間なんて」。しっかりした演奏で音源としては貴重と言えば貴重だが。
ラジオの前で放心状態になった私に拓郎はトドメを指す。「まずは篠島のオープニングで歌おうと思います。」やめてくれぇぇぇぇと叫んだのは私だけではなかったと思うのだが・・・自信はない。
その切なる願いがかない、篠島のオープニングは、「アイランド」ではなく、「ああ青春」で劇的に始まった。しかし、時々思う。オープニングが「アイランド」だったら歴史はどうなっていたのだろうか。もしそういうパラレルワールドがあれば覗いてみたい。エルトン永田氏のピアノで始まるのではなく、陣山俊一氏の「シュビドゥバ」で始まる篠島はどうなったのか。
とりあえず私たちの時間軸の世界では、「アイランド」は篠島の第二部最後で瀬尾オーケストラのバックによって歌われた。途中拓郎は歌の入りを間違えたりしたが無事演奏された。以来、この曲は幻のままである。
幻でいい。
2015.4/10